美味しそうな「熟成肉」
「ドライエイジング Dry aging」とは
1.熟成庫内の温度 0〜4℃
2.熟成庫内の湿度 60〜80%
3.庫内には空気を循環させる
このような条件で、肉を2〜6週間じっくりと熟成させます。
それでは、この熟成中に肉の中で何が起こっているのでしょう?
1.肉の中に含まれている酵素が働き、「タンパク質」が分解されて
肉質が軟らかくなる
2.肉の中の「タンパク質」が分解されて、旨味を感じさせる「アミノ
酸」(グルタミン酸など)が増える
3.肉の中の「ATP」が酵素分解され、旨味を感じさせる「イノシン酸」
が増える
4.風を当てることにより「水分」が減少する(10〜30%減少すると
いわれる)
5.表面にカビなどが発生するが、その部分はトリミングで除去される
(カビの酵素類が肉の中心部にまで浸透して働くかどうかは不明)
なお、タンパク質が分解されて「アミノ酸」が増えるということは、肉を焼いた時に表面で起こる「メイラード反応」も起こりやすくなりますので、ますます肉を焼いた際の風味や旨味は強くなります。
「メイラード反応」については → こちら
つまり、
「肉(特に赤身)の中に含まれるタンパク質が分解されて肉質が軟ら
かくなる」
「酵素によって旨味を持つグルタミン酸やイノシン酸が増える」
「水分が減って、旨味が濃縮された状態になる」
「アミノ酸が増えることによってメイラード反応が促進されるため、
焼いた際の旨味や良い香りが増加する」
ということですね。
美味しそうな焼き色のついた熟成肉
このように、「熟成肉」では様々な面で肉の魅力が引き出されています。
そして、「健康面」での利点(脂肪分やカロリーが少ないことなど)もあって、日本でも近年熟成肉が大きなブームになっているわけです。
ただ、熟成肉の「熟成条件」や「熟成期間や程度」は作り手によって様々なレベルのものがあります。
中には、熟成期間がごく短いものや、逆に、強い香りが出てくるまで表面に微生物を発生させ「発酵」のような状態にするものまでありますので、ご購入の際には熟成に関する考え方を確認された方がよいでしょう。
「発酵」については → こちら
【追記】
2015年10月、熟成肉のイベントで「さの萬」の佐野氏の話を聞く機会がありました。さの萬では、熟成肉の表面に発生するある種のカビの効果を重要視されているようです。
確かに、カビは種類の違いによって効果が異なりますし、それを意識してカビの使い分けをされていることには意味があるように思いました。